厚生労働省の「働く女性の状況」によると、女性の雇用者数は2,720万人、男性の雇用者数は3,284万人で、雇用者全体に対する女性の割合は45.3%となりました。
しかし、その一方で男女の賃金格差は広がっており、短時間労働者を除く一般労働者の賃金格差は76.6%(82.1万円)となっています。
(第一回)ダイバーシティ&インクルージョンと女性の関係でも述べた通り、日本の役員に占める女性の割合は、OECD諸国の中では最下位です。上位国では30%を超える数値が、日本ではわずか5.2%ということは、現在の賃金格差を考える上で大きなポイントのように思います。
女性が活躍できる環境を作るにはどうすれば良いのでしょうか。
日経WOMANでは、 企業の女性活用度調査を行っています。その結果は(第二回)ダイバーシティ&インクルージョンと女性の関係で示した通り、顧客に女性が多い企業が主に女性雇用を進めています。そして、女性の雇用者が多い企業は、それに比例して女性管理職が多く、全体として女性が活躍できる場が形成されているようです。
たとえば、ゆうちょ銀行の場合は、お客様は女性が多いため窓口に女性を多く雇用しています。 女性活躍ランキング1位の資生堂も同様の理由で女性を多く雇っています。
しかし、単純に女性の雇用を増やせば良いということであれば、男女の雇用者比が減少する中で、賃金格差が広がることはあり得ないはずですが、現状は違います。
この理由はどこにあるのでしょうか。
(第四回) ダイバーシティ&インクルージョンと女性の関係-女性を雇用するデメリットでは、企業における女性雇用のデメリットを考えました。
働く女性の現状と課題によれば、女性は30代で一度離職者が増えており、キャリアの途中で出産・育児に移ることが分かります。この、もっとも成長しやすい時期に離職をすることが女性雇用デメリットの最も大きな理由です。
子育てで数年間の離職期間を過ごすと、必然的に数年間のキャリアブランクを背負って復職することになるため、会社の幹部候補には選択されにくくなります。
しかし、これは最近の先進事例を見ると解決可能であると言えます。
例えば女性活躍推進企業の大和証券グループでは、ワーク・ライフ・バランスの充実を重視し、産休・育休からの復帰後に時短勤務が可能です。
男性の育休休暇取得は、アフラック生命保険とりそなホールディンクスが取り入れています。男性も育児休暇を取得することで、夫婦で協力して育児に取り組むことができるようになり、女性の子育て中のブランクが緩和されます。
女性は妊娠や出産をきっかけに一度離職することが多く、現在それが女性の企業内での活躍の阻害要因となっています。
これを防ぐためには、男女の産休や育休の制度を導入し、その後も働きやすい環境を作っていくことが重要です。また、男性の育休取得率も大きなポイントになります。女性が活躍するためには、子育てや家事を夫婦間で共有し、女性の負担を男性や会社が引き受ける体制を整えることが必要です。
そして、それこそがダイバーシティ&インクルージョンを取り入れた社会の将来図であると考えます。
未来文書に相談してみませんか?