出展:内閣府地方創生に関する都道府県・指定都市担当課長説明会(平成29年1月17日)「資料13-2 モデル的な事業に関する参考資料」
地域商社を一言で言うと、地域の資源を活用した地域経済を活性化させる事業体のことです。
地域資源というのは、その土地でとれる産物だったり、観光資源だったりします。地域商社は、これを地域の内外に販売して収益を上げようという試みのことです。
この言葉が生まれる前から、あちことで様々な取り組みが進んでいます。高知県馬路村では、地元で栽培している柚の加工品を販売し、人口800人前後の村で現在30億円以上の売り上げを上げています。2005年には加工場を開設し、2022年には隣に化粧品工場を増設しました。
また、大分県大山町では、地元で栽培している梅を買い取り、梅酒などにして全国に販売しています。これも先進的な地域商社の事例と言えます。
地域商社の詳細は、こちらからダウンロードできます。
出展:内閣府地方創生に関する都道府県・指定都市担当課長説明会(平成29年1月17日)「資料13-2 モデル的な事業に関する参考資料」
上記の2つの取り組みは、いずれも地元の有志による活動が実を結んだものですが、これをより一般化するには、外部からのアプローチがどうしても必要になります。
官公庁では内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局と、内閣府地方創生推進事務局が担当しており、地方創生に係る補助金などを毎年交付しています。
くわしくは施策をごらんください。
地域商社は、単に販売経路を作って地域産品を売るだけではありません。地元の状況を正確に把握し、様々な情報を収集したうえでビジネスプランを組む必要があります。いくつかの注意点を挙げておきます。
地域の特産品のほとんどは農林水産業に属していますが、、多くの場所で人手不足などの理由で生産量が減少しています。例えば樹木から採れるものは、樹木の高さが2メートルを超えると管理が困難になり、原生林化します。その前に高さを調整するなどの管理が必要なのですが、産業従事者の高齢化のため、その管理ができない地域が多数あります。
水産物は、近年「磯焼け」と言われる現象により、生産量が激減しているものがあります。また、一つの産物だけを集中的に獲ると、水域の生態系に影響を及ぼす可能性もあり、安定供給は望めません。
林業は伐採までに時間と手間がかかる生産物の一つです。山の整備は林業従事者の高齢化のため、何もできていないところが多く、木材が欲しいからといって、すぐに手に入るものではなくなってしまっています。これは1990年代に海外からの安価な輸入木材を仕入れるようになって、林業そのものが崩壊してしまった結果ですので、一朝一夕でどうにかなるものではありません。
小さな山村などは、農協などの安定した販売先に依存しなければ生活が成り立ちません。また、集落には独自の組織や隣の集落との関係性も大事な要素です。少ない人数が一定の範囲で生活するには、その地域のルールが必要ですから、それを乱すような話が外部から来ても、いい返事はできないでしょう。
外部からのアプローチで、このような事例は多々あります。ほとんどうまくいっておらず、いかに地域との協力・連携が大事かが分かります。
地域の観光資源を活用する場合は、移動手段に気を付ける必要があります。山村は車での移動になりますが、大型のバスが入らない場所があります。また、駐車場もない場合が多く、都市での移動と同じ環境を考えることはできません。可能であれば現地の役場に情報を聞いておく必要があります。
また、キャパシティについても、多人数を受け入れることができる場所があまりないことがあります。主にトイレや飲食店などが挙げられますが、そうした場所の確保は重要なポイントです。
さらに、道によっては土砂崩れなどの影響で通れなくなる可能性があります。災害が発生した直後は当然ですが、その後も復興が進まず、放置せざるを得なくなっている場所も少なくありません。
地域には、ウェブ上の情報ではまかないきれない課題が山積みです。それは、地域の人手不足をそのまま反映しているものですが、まずは現地に行って話を聞くことが何よりも大事です。
すでに現地で人間関係を作っている外部の事業者があれば、そこを活用することも有効です。地域には高いポテンシャルがありますが、それは都市が食いつぶすためのものではなく、地域のために活用されるべきものです。
どこから手を付けて良いか分からない場合は、まずは当社にご相談ください。きっと何かのお手伝いができると思います。
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