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競争に勝てる企画書作成2 収益モデルは具体的に

競争に勝てる企画書の作り方2

前回企画の社会性について触れましたが、収益の上がらない企画は、どれほどすばらしい企画でも通りません。ボランティア企画であっても、ある程度自力で持続可能な事業モデルでないと、企業の信用を得ることは難しいでしょう。

収益モデルの考え方

事業には、収益と支出があります。たいていの企画書は収益を大きく、支出を少なく見積もって計算しています。企画というのは、相手にお金なり権利なり、何らかの提供が欲しいというアプローチなので、出す方としては、そんな甘い収益モデルでは納得しようがありません。

また、根拠のない希望的観測で数字を出す企画もあります。「ホントにこんな数字出るの?」と聞かれたときに、「大丈夫です。頑張ります」では、とても信用を得ることはできないでしょう。大切なのは、納得のいく数字です。

特に支出についてはシビアに見ていくことが重要です。以下に支出の事例を挙げておきます。

  • 仕入れ:商品を仕入れる場合は、原価を計算しておきます。送料の計算も忘れずに。
  • 人件費:事業に必要な人員の計算です。手取り給与でなく、総支給で計算します。
  • 広告費:事業の開始段階では広告を仕掛けることが大半です。初期の費用と継続費用を分けて考えます。
  • 家賃:事務所などの経費です。電話の1本も置かない事業はほとんどありません。
  • 水道光熱費:これは一括で計算しても大丈夫です。予算規模が大きいなら諸経費でまとめても問題ありません。
  • 通信費:これも水道光熱費と同じ扱いです。ただし、顧客にDMを送る場合などは、ちゃんと計算しておきます。
  • 旅費・交通費:車を使ったり、あちこちに移動したりする場合は、計算に入れておくべきでしょう。
  • 新聞図書費:テキストや小冊子を作成したりする場合は、経費として計算しておきましょう。
  • 諸経費:消耗品やその他の経費です。おおむね全体経費の10%程度を確保しておけば十分でしょう。

支出については金額の大小もありますが、できるだけ細かく設定することで信頼性が向上します。これ以外にも、事業を進めるにあたって必要となる経費は全て計上しておきます。

イニシャルコストとランニングコスト

ほぼ一般的に認知されていることだと思いますが、経費には最初に必要なお金と継続して支払う必要があるお金があります。スマートフォンの新規契約で考えると、スマートフォンの代金と事務手数料がイニシャルコストで、毎月の基本料金などのお金がランニングコストです。

事業を開始するとき、ホームページを作ったとすると、ホームページの作成代金がイニシャルコストで、サーバー代、ドメイン代、ホームページの保守管理費などがランニングコストになります。

よく、イニシャルコストだけを計上する人がいますが、ランニングコストを考えないと、収支の計算はできません。最初のイニシャルコストは後から収益を上げて埋め合わせれば良いですが、ランニングコストはそういうわけにいきません。毎月の収支を考えるとき、常に収益がランニングコストを上回るような形にしなければなりません。

また、イニシャルコストは多少増えても取返しがつきますが、ランニングコストが予想外に増えてしまうと、収支プランそのものが破たんする恐れすらあります。ランニングコストは、とにかくシビアに、多少多めに設定しておくことが重要です。

収益は皮算用でなく、根拠となる数字を

収益は、支出に合わせて計算していきます。具体的には次の計算の通りです。

顧客数×客単価×販売回数=収益

販売人数というのは、顧客の数です。客単価は一回の購入でお客が支払う平均額です。そして販売回数は、1人の顧客に販売する回数です。3ヶ月に1回の定期購入ということであれば、1か月の販売回数は1/3ということになります。

収益を考えるとき、この3つのパラメーターをどう考えるかがポイントとなります。基本的な認識として、顧客数は逓減する、客単価は顧客数と相反する関係にある、という点を踏まえるべきです。顧客数も客単価も上がるというモデルは通用しないでしょう。

基本的には客単価を一定にしておいて、顧客数と販売回数を変更していくことになると思います。そして、顧客数の増加は新規開拓、販売回数の増加は顧客フォローが該当します。一般的に、新規開拓よりもフォローの方が費用的に安くすみますから、初期段階では新規開拓の割合を増やしておいて、ある程度の顧客数が確保できたら顧客フォローを強化するというモデルになります。

こうしたモデルはエクセルを使えば簡単に計算できるので、いろいろシミュレーションをしてみて、一番現実的なところを狙っていくことが重要です。

基本的には、支出はできるだけ正確に、収益はできるだけ低く見積もることから始めるべきでしょう。収益モデルは通常と最低ラインの2種類を用意しておくと、リスクのラインが見えて数字に説得力が出てきます。

信頼されるための背景

たとえば、福岡市には7.7社の企業があります。当社の所在地である城南区は、このうち3,200社程度があります。こういう数字は公開されており、インターネットで簡単に閲覧できます。この数字を元にすると、城南区の会社に対してアプローチを仕掛ける場合、どんなに頑張っても3000社程度にしかアプローチできないということです。

一方、博多区では2.1万社、中央区では1.8万社ありますから、この2区だけで約半分の会社が集中していることになります。したがって、普通に考えると、福岡市で企業相手に商売をするなら、中央区か博多区を狙ってアプローチを仕掛けることで効率化を狙うことができるということになります。

単に博多区・中央区を中心に営業展開します、ではなく、こうした数値の根拠を出すことで、最も効率的な動きをすることがアピールできるようになります。

実際に営業をかけて成功するかどうかは誰にもわかりません。しかし、そのアプローチの件数を増やすことはできます。各区の面積と企業数を割り出しても良いでしょう。根拠となる数字が現実を反映していればいるほど、収益に対する信頼性は高まることになります。

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